前回の適正ローラーベースの話。
120mmと出しましたが、正確に言うともう少し後ろになるはずなのですが。
とりあえず、なんでこの値になるのか、その辺りを解説していきたいと思います。
まず、タイヤの補助にローラーを入れるミニ四駆の場合、タイヤから等距離にローラーを置くとコマのように回ることができる。
舵角の付かないミニ四駆の旋回運動で、タイヤをレーンの最も内側を走らせる場合はこれが理想のローラー配置となるのですが、ローラーはタイヤより外側にあるので、コーナーのRを考えるとタイヤの中心点より前後に離れた位置が正解になります。
その位置はホイールベース、トレッド、ローサーサイズによって違うわけですが、大体、タイヤの中心から1cmほど外側になります。
MSの場合、ホイールベースが80mmなので、ローラーベースは100mmとなる、のですが。
(この位置に19mmつけるとちょうどレギュ範囲内になる、ってすごいなタミヤw)
ここで疑問が生まれます。
そもそもコマのような旋回が理想なのか?
F1などのレースシーンでは違いますよね、コース上の理想のラインを描くことが最速につながるんです。
究極の理想は全てのコーナーをインベタで回ることです。
でもそんなのハンドルがあるマシンですら不可能なのです。
なので、ミニ四駆の場合は、理想のライン取りを考えたローラー配置が出てくることになります。
たとえばミニ四駆でよくあるこんなセクション。
- 右90度コーナーから直接DB
斜めに飛ぶマシンが続出します。
何故かというと、
- 右コーナーで左壁に押しつけられる
この時、左フロント側にかかっている力は速度、重量にもよりますが、2kgくらいかかっています。 - コーナー抜けた後、反動で右壁に向かう
この2kgの力の反発力でフロントが反対の壁に向かいます。 - 右壁に当たって跳ね返りながらDB
つまり、挙動として左>右>左ジャンプ、となり、マシンの頭が左方向に曲がった状態で斜めにジャンプします。
ではどうするか、というとスラダンなどで壁に当たる衝撃をいなすのが1つ。
もう1つが…ローラーによるライン取りです。
ローラーを下げるとマシンが外側に向かおうとします。
この挙動により、コーナー抜けてから反対の壁への跳ね返りが遅く、左壁に寄った状態でDBに入れるんです。
リアローラーも同じで、下げるとマシンがさらに外側に向かうようになります。
半透明なほうがローラー位置を下げています。
同じ位置にタイヤがあるとき、マシンが外側を向いているのがわかりますかね?
こうセッティングすることで、コーナーリングの際に無駄な蛇行運転が少なくなり、安定したジャンプが可能になります。
またこれはジャンプセクションだけに効くわけではなく。
平面走行時の速度にも関わってくるのです。
まず上記通り、壁に触れるタイミングが遅くなり、蛇行が少なくなるので、単純に平面速度が上がります。
ローラーベースが長ければ長いほど蛇行は少なくなるのですが、ここは塩梅。
そして、コーナーリング時に壁に押し付ける力が駆動軸より後ろにかかるので、負荷を逃します。
緑の矢印がローラーが前にある場合に壁から受ける力の方向です。
(ほんとはもうちょっと力に角度つくけど)
タイヤに思い切りかかってくるので、ブレーキのような力がかかります。
しかしローラーを下げることで、タイヤにかかる力を逃がせるようになるので、速度が上がります。
オレンジの矢印の感じ。
壁から押し返される力自体をそらしているイメージです。
そしてフロントは詰める、後ろに下げたほうがコーナー侵入時のブレーキ効果が遅くなるので、キレが上がります。
なんだかメリットしかない気がしてきたw
このローラー位置の最適位置が大体、ローラーベース120〜125mmくらいになります。
(適正位置はマシンセッティングによるので、走らせてみないとわかりませんが大体上記になるかと)
フロントローラーをできるだけ下げて搭載し、その位置から120mm離れた場所にリアローラー、です。
ここから少しづつ下げて、速度が遅くならない位置まで下げられればベスト。
リアローラーを前方に詰めると、コーナー中の壁接地時間が短くなり旋回性能は高いのですが、上記恩恵が受けられないので、ある程度下げてローラーベースを確保するべき、なのです。
ただ下げすぎると速度が落ちます。
この塩梅が難しい…
とはいえ、このローラーの話はいろいろあって。
実はこれが正解、なわけでは全然なく、コースやマシンの特性、タイヤの位置と太さに厚さ、重量、スラダンなどの場合の可動、逃した力など。
うまい人たちはこのあたりの塩梅を経験から導き出せてるのだと思います。
たとえば、ライン取りをいいましたが、コースによってベストなラインは違います。
平面を遅くしてでも、コーナーで向きをわざと変えさせて、速度を落として曲がる、など調整ができる構成。
ローラーセッティングの幅を広く持たせたマシンが使いやすい、ということにもつながります。
と、こんな話になります。
何度もいいますが、これは正解ではないです。
ただ、考え方としては正しいはずですので、これをヒントにいろいろ考えてみてください。
自分のマシンにあった、適正位置、ベストなラインが見つかることを祈っています。
ではでは。