Googleトレンド等データ分析ツールを利用し、ミニ四駆の「今」をお伝えします!
目次
・日本およびその他の地域のインターネット上での人気度分析
・人気度分析とイベント開催数の分析
・あとがき
1.日本およびその他の地域のインターネット上での人気度分析
インターネット上の人気度を測定する指標として、Google検索のGoogleトレンドを選択した。なぜGoogle検索を選択したかと言うと、Googleが日本及び世界での検索エンジン分野での圧倒的トップであるからだ。
検索エンジン分野シェア(日本)
Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share
*Yahoo!(日本)はGoogle検索のライセンスを使用している。
検索エンジン分野シェア(世界)
Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share
*Yahoo!(米国)はBing検索のライセンスを使用している。
今回はインターネット上以外の人気度は考慮に入れていないことに注意して欲しい。
人気度分析(世界)
過去5年間の世界での「mini4wd」の検索総数から人気度を分析した。
検索総数
週ごとの検索総数から、最大の2015/8/9-8/15週の検索総数を100としてデータを表示した。面白いことに、後述の日本での最大値(2015年7月)とほぼ同時期に最大値を記録した。
検索総数(地域)
地域で分析すると、タイ、香港、インドネシア、マレーシア、イタリアと続く。これはタミヤの拠点および代理店の立地と関係していることが予想される。ただし、欧州では様相が異なるようだ。
TAMIYAの欧州の中心はTAMIYA EUROPE GMBH.(ドイツ)であるが、イタリアしか検索総数にランキングされていない。イタリアは28、その他の国は1未満だ。Googleトレンドで、「Car Race」や「plastic model」で検索したもののイタリアが上位に来ることはない。それらの検索ではイギリスが上位に入る。この原因は不明であった。TAMIYAの歴史から考察できるであろうが、今回は省略する。
人気度分析(日本)
過去10年間の日本での「ミニ四駆」の検索総数から人気度を分析した。
検索総数
月ごとの検索総数から、最大の2015年7月の検索総数を100としてデータを表示した。ミニ四駆ブーム(三次)は2012年ごろから始まっていることが明示された。ただし、2015年7月からゆるやかに低下傾向である。
新製品の販売と検索総数の関係を考えると、ARシャーシ(2012年)やMSシャーシ(2013年)、FM-Aシャーシ(2017年)が記憶に新しい。ARシャーシ(2012年)およびMSシャーシ(2013年)はブームを加速させたと言える。加えて、FM-Aシャーシ(2017年)は低下傾向に歯止めをかけていたことが読み取れる。ただし今後もこの低下傾向は、新製品の販売という視点で見ると続くことが予想される。
*新製品数と検索総数の関係は新製品一覧(最新掲載)のデータを利用することで分析可能であるが、今回は省略した。
検索総数(地域)
地域で分析すると、栃木県、山形県、茨城県、群馬県、静岡県と続く。
この期間を1年間にすると、違いを見ることができる。栃木県(旧1位)、山形県(旧2位)、鹿児島県(旧21位)、岩手県(旧8位)、群馬県(旧4位)と続く。鹿児島県が非常にホットであることが見てわかる。
一都道府県で見た場合、栃木県や山形県には有名な店舗があるのだろうか?不明である。(確かに、筆者も宇都宮を訪れることは度々あるが、宇都宮駅のヨドバシカメラの常設コースでは誰かしら居ることを都度目撃した。ただ、あまりにも主観的だ。)
これらの情報から、日本を8つの地方としてさらに分析すると以下の通りであった。
計算方法は人気度(地方)=(地方に該当する都道府県の人気度の総数/地方に該当する都道府県の数)である。
人気度分析(地方)10年
人気度分析(地方)1年
検索総数が伸びたのは、東北・北海道、東海、九州、沖縄である。中部、北陸は変わらず。低下したのは近畿、四国、関東である。都市部ではなく地方中心でのミニ四駆の検索が盛んになった。地方の総人数で言えば都市部が圧倒的=検索数も増えることになるが、今回の結果では相関しない。都市部では趣味の多様さや土地代の高さ(常設コースを維持管理しにくい)等の理由があることが予想された。
ミニ四駆を考える上で離せないのは、自動車やプラモデルメーカーだろう。ただし、自動車メーカーの日本の自動車工場分布図や国内のプラモデルメーカー一覧からは上記検索総数との相関は見られない。なぜなら、世界的な自動車メーカーのトヨタが立地する愛知県、プラモデルメーカーの中心地である静岡県やその付近の地域は上位ランキングを占めるに至っていないからだ。
*プラモデルメーカー会社名(本社所在地):
株式会社タミヤ(静岡県)、株式会社バンダイ(東京都)、株式会社ハセガワ(静岡県)、株式会社青島文化教材社(静岡県)、有限会社ファインモールド(愛知県)、有限会社プラッツ(静岡県)株式会社童友社(東京都)
2.人気度分析とイベント開催数の分析
TAMIYAも企業活動としてミニ四駆を発展させたいと考えるのは当然だろう。そこで今年の人気度と今後のイベント総数が比例することを確認した。
人気度分析(地方)1年
イベント総数(2018年9月-12月)
イベント一覧より2018/09/02からの全てのイベントを分析した。
上記2つの分析を統合すると以下の通りであった。イベント総数は最大を100として再計算を行った。
何ということだろう。相関していないことが読み取れる。
確かに、都市部の人口は地方の人口と比べ桁違いに多いし、タミヤとして地方での大会実施のリスクを取るのは難しいことが予想される。ただ、今回の結果から読み取れることは「都市部より地方にミニ四駆に興味を持っている人口が多い」ということである。
ミニ四駆のさらなる発展を目指すのであれば、東北・北海道および北陸、九州での継続的な大会実施を行うべきであろう。地方は顧客との関係性の管理(CRM)は各自の販売店に委ねられていると言えるし、それに加えてTAMIYAは何ができるのであろうか?今後もミニ四駆を趣味として位置付けるには従来の新製品の開発だけではなく、オンラインとオフラインの情報を駆使して顧客が何を求めているかを分析し、それに基づいた行動を続ける必要があるだろう。
あとがき
今日朝起き、思いついてから約5時間でまとめ終わりました。すべての分析データはGoogleスプレッドシートに保存しています。
意外だったのは、都市部より地方の「検索総数および人口あたりの検索数の比率がとても高い」ということでした。人口多い=競技人口多いのではないんだなと。確かにこういった趣味は野球チームと同じで一人では続けにくいし、情報共有も困難なのでチームで行うメリットが多数あります。(が、私はほとんどソロプレイヤーでした。ぼっち悲しい。)
今後もミニ四駆は趣味として口に出しても恥ずかしくないくらい有名になってくれればいいなと思ってます。ただ、現状分析から言うとオンライン(検索総数)とオフライン(イベント実施)が繋がっていないのでこれ以上の発展は難しいかもしれません。
確かに現職(製薬業界)も、オンラインのデータ分析に基づいた行動計画は行っていないように見られます。製薬の中でもニッチな業界だし、購入の決定権を持つのはオフライン側(わりと高齢)だからってことでしょう。法的な縛りもあって「これ買いたい」で買えるものでもないですし。ただ、顧客のニーズを満たせる企業は発展し、満たせない企業は衰退していきます。情報収集の方法がオンラインにまとまりつつある今、手を打つのはありだと思います。しかし、オンラインの検索もすべてのデータがWeb上にあるわけではないので限界もありますね。「ミニ四駆(TAMIYA)がなぜイタリアで人気なのか」等々。データ分析に対してまだまだ勉強不足ですね。
今後もたまにこういった記事を出していきます。コメントいただければ調査するかもしれません。ではでは、またの機会に。